花嫁と咎人
嬉しいのか悲しいのか分からないまま…俺はフランに言った。
「――どうか、思い出して欲しい。」
それは、自分の思い。
「このまま終わるのは…嫌なんだ。」
精一杯の愛。
「まだ伝えて無い事が沢山ある。
まだ…やり残した事が沢山ある。
一緒にこれからやりたい事だって沢山あるんだ、それなのに、」
…心を繋ぎとめようと、俺は必死だった。
「遠くに行かないでくれよ…、一人でどこかに行くなって…言っただろ…。」
出会った時は、変な姫様だと思った。
すぐ泣くし、お節介だし…妙な所で気を遣うし。
はっきり言って…少し足手まといだと思った時もあった。
でも、それでも。
どんどん君に惹かれていく自分が居た。
自分とは正反対の君。
純粋で、馬鹿で、それでも透き通ってる君が、恋しくて。
濁らないその目を見てると…安心した。
毎日追われている恐怖と戦いながらも、笑顔をくれる君が俺の太陽だった。
どれだけ失っても、どれだけ苦しんでも、
君が居ればそれでいい。
心が引き裂かれたって、君とならどんな事も乗り越えられる気がした。
嗚呼、これ程までに俺は、
「―君を愛しているのに。」