花嫁と咎人
嗚呼。
正義とは恐ろしい物だ。
俺が目指した正義も、オーウェンが目指した正義も、
元は変わらぬ想い。
…そう。
何かを守るため。
そして、今の状況を壊すためだった。
彼は自分とよく似ていた。
俺が表の正義なら、彼は裏の正義。
外側から壊す者と、内側から壊す者。
対照的だけれど、その本質は同じだった。
「アンタは、全ての恨みを…一人で背負っていたのか。」
そう呟けば、悲しそうに口を歪めるオーウェン。
そのぎこちない笑みさえも…
「…馬鹿だな。」
自分のこの笑みと似ているのかもしれない。
そして暫くした後、オーウェンは口を開いた。
「また後ほど迎えに上がります。」
だなんて言いながら踵を返す彼に、俺は言葉を投げかける。
「…なあ。」
すると首を傾げ、こちらを振り向くオーウェン。
「…はい?」
そんな彼に俺は、
「でかい鷲が見えたら、知らせてくれ。」
そう言っては口元を歪めた。