花嫁と咎人

嗚呼。
正義とは恐ろしい物だ。

俺が目指した正義も、オーウェンが目指した正義も、
元は変わらぬ想い。

…そう。
何かを守るため。

そして、今の状況を壊すためだった。


彼は自分とよく似ていた。


俺が表の正義なら、彼は裏の正義。
外側から壊す者と、内側から壊す者。


対照的だけれど、その本質は同じだった。


「アンタは、全ての恨みを…一人で背負っていたのか。」


そう呟けば、悲しそうに口を歪めるオーウェン。

そのぎこちない笑みさえも…


「…馬鹿だな。」


自分のこの笑みと似ているのかもしれない。




そして暫くした後、オーウェンは口を開いた。


「また後ほど迎えに上がります。」


だなんて言いながら踵を返す彼に、俺は言葉を投げかける。


「…なあ。」


すると首を傾げ、こちらを振り向くオーウェン。


「…はい?」


そんな彼に俺は、


「でかい鷲が見えたら、知らせてくれ。」


そう言っては口元を歪めた。




< 385 / 530 >

この作品をシェア

pagetop