花嫁と咎人

そして小さく開けた唇から漏れたのは、


「…干し昆布を、」


―…干し昆布。


「ほ…干し昆布?」


慌てて問い返すと、彼は夜空を仰ぎながら…とても爽やかにこう言った。


「少し食べた。」


「―…。」


嗚呼駄目だ。
この人はもう駄目かもしれない…!


「もう、いいですから、ね!さあ夜が明ける内に寝ましょう!」


頭上に星の舞っているオーウェンの腕を引き、強引に座らせ、強引に上着をかけて、フレッドは、


「えいっ」


強引に香水をかけた。


すると「ぐう」と瞬時に首が折れて、眠りに着くオーウェン。


その姿を見て大きくため息を吐くと、何度も首を振り、


「不器用な方だ。」


と何度も言った。



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