花嫁と咎人
Chapter.8
運命と逃亡者
―エスタンシア王国4番街。
海賊のアジト。
あの後、起きた俺達はせっせと準備をし始めた。
要した日にちは2日間くらい。
冷や汗をかきながら、火薬を集めるアキ。
牢の中でひたすら数式を書く俺。
それをぼんやりと見つめるフランは、
「これは、何?」
ここまで話せるようになった。
「…ん、ああ、それはアレだ、時間の計算。」
俺が何気なくそう答えると、
「そうやって簡単に言うけど、薬物を震えながら詰める僕の身にもなってくれよ!」
敬語が消滅した口調でアキが叫ぶ。
…とは言っても、俺が慣れないから止めてくれと言ったのがきっかけだが。
「そこに書いてある通りに詰め込めば爆発しねぇよ」
そう言って俺がまた紙に視線を戻せば、大きくため息を吐くアキ。
「君さ、この数式見れば頭良いのは分かるよ。でも、出来るか出来ないかの所で答えを出すの止めてくれるかい!?」
…そう、彼が言っている事。
つまり0がアウト、1がセーフだった場合、0.5で答えを出すのは止めろと言っているのだ。
でも、
「極限でやってこそ、脱走劇は楽しさを増すってモンだろ。」
俺はその為なら何だってするつもりでいた。