花嫁と咎人

ジャラっと音を立てて外れる手枷。
足枷も同様に、少し動かせば鉄の音を零してゴロンと傾く。

それを見た時のフランの表情は、驚きの色で一杯だった。


「手枷、足枷はもう外してある。…俺はとうの昔から準備万端だ。」


得意げな笑顔。
甦る、始まりの思い出。


「とりあえず…俺はアンタの意見が聞きたい。」


全ては地下牢で始まった。


「…ここでおとなしく死ぬか、」


女王と、死刑囚。


「俺と一緒にここから出て…その先の事はまた考えるか。」


例えそれが仕組まれた事でも、


「選べ。」


きっと出会う事は必然だったんだ。

この国に漂着した悲運。
捕らえられた不幸。

だけど今は、君と出会えた事を幸福だと思いたい。


求めたのは自由。
運命に縛られる為に、この世に生を受けたわけじゃないから。


―…せめて。


「アンタだけでも逃がしてやる。」





―と、彼女の髪に触れたその時。


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