花嫁と咎人
「…―ヤダね。」
俺は立ち上がり、オーウェンの姿をまじまじと見た。
「俺はここからは逃げるが、アンタらからは逃げねぇ。」
「…は?」
「勿論この国ほったらかして逃げるつもりも無い。」
笑みを浮かべる俺と困惑に眉をひそめるオーウェン。
「貴方が何を言っているのか僕には分からな、」
「だから!」
そんな彼に向かって叫ぶと、その襟首を掴んだ。
「…大人しく死刑囚に戻ってやるって言ってんだよ。」
「―…!?」
「最後には処刑台に行ってやるよ、だから、せいぜい最後まで俺を追いかけろ。」
絶えない笑み。
「女王殺して捕まってやるから、テメェのクソ親父連れてきな。坊ちゃん。」
「―ま、待て!話が良く分からない、」
そして俺は鉄格子に縛り付けてあった導火線に火をつけ…最後に最高の笑みを浮かべると、
「そしたら許してやるよ。」
一言そう告げて。
「じゃあな!」
思い切りオーウェンの顔を殴った。