花嫁と咎人

刹那、駆け出した俺とフラン。


「―…逃げよう。」


俺が手を差し出せば、彼女はぎゅっとその手を握って。


―バァン!


鳴り響いた爆発音を背に洞窟を走りぬける。


「な、なんだ…っうわあ!」


「に、逃げたぞー!」


うるさい賊員達を蹴散らして。
その道中にあった己の剣を手に、賊頭のスキンヘッドをぶん殴ってやった。


出口に飛び出せば、馬の姿が。

そしてその奥にはオーウェンの部下が驚いた表情でこちらを見ていて。


「悪いな!」


馬に乗り込みながら小さく謝ると、俺は思い切り綱を引っ張った。
動きながらフランの手を掴み…引っ張れば自分の前に上手く収まる彼女の体。

砂埃の上がるアジトを一見し、



「…最後の、逃亡劇の始まりだ。」



そう呟いて…俺は馬を走らせた。



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