花嫁と咎人
…どうやら私の事はもう知られているみたい。
ドレスを着てるからって言う事もあるようだけど…
「死刑囚にさらわれて…あんた、無事だったのか…!?」
立ち上がりながらも、動揺を隠せないジャックさんに対し私はぶんぶんと首を振る。
「違う…!私、本当はさらわれてなんかないの…!」
「……は?」
キョトンとする彼と、
「どうしよう…!早くしないと…殺されてしまうわ…、殺されてしまうのよ…!」
思わず泣き出してしまう私。
「ちょ、何が何だか分からんが…とりあえず落ち着いてくれお姫さんよ…。」
ジャックさんになだめられ…私は何度も頷きながら口を開いた。
「彼は、私を助けてくれた命の恩人なの…!」
そして彼に今まで会った事の全てを打ち明けた。
始めはジャックさん一人だったこの場所が、気がつけば妻のリサさんが増え…
早朝にも関わらず、どんどんと町民がやってきて、
「…だから彼は何も悪くないの…、本当よ…」
終わりを話す頃には、そこはとてつもない人だかりになっていた。
「…なんてこった、おれ達は…国に騙されてたって事か…!」
ジャックが唸り声を上げれば、
「畜生なめやがって!」
「人をなんだと思っているんだい!」
「最近おかしいと思ったらそういうことだったんだな…!」
口々に不満や怒りをぶつけ出す人々。