花嫁と咎人
―…パカッ、パカッ。
休憩も無しに、ただひたすら森の中を駆け抜ける。
まだ昼間のはずなのに…どこか暗く、気味の悪い空気を放つこの森。
今の所、蛇には遭遇していないが…
恐怖心が募っていくのは言うまでも無かった。
…こんな時。
ハイネがいてくれればいいのに。
彼の姿を思い出す度に泣きそうになる弱い自分。
思えば一人で何かをするのは初めての事だった。
幼い頃から側にいてくれたエルバート。
牢に閉じ込められてからも、ハイネがずっと側にいてくれていた。
でも、今は私一人。
心細くても、逃げたしたくても…
一人でどうにかするほか無いのだ。
―…負けそうだ。
でも、負けられない。
キッと目を向け、私はひたすら森を走る。
今度は私の番…!
そう思いかけたその時だった。
―シャアッ!
「!?」
突然木から現れたのは蛇。
「…っきゃあ!」
驚いた反動で私はバランスを崩し、そのまま地面へと叩きつけられた。
―…痛い。
「……う、」
体中がの間接が悲鳴を上げ、
打ちつけた場所が鈍く痛む。