花嫁と咎人
Chapter.9
貴方の思い出
「号外!号外ー!」
ばら撒かれる大量の新聞紙。
「とうとう死刑囚が捕まったよー!」
それを読んでは
「あら本当?」
「怖いわねー。」
「死んで当然だ。」
口々に声を漏らす人々。
「なんでも女王陛下を殺害したとかー!」
私は床に落ちたその新聞紙を拾い、ゆっくりと目を通した。
“死刑囚。ついに処刑”
「死刑の時刻は昼下がりの午後3時!場所はエステリア城前広場!」
「―……。」
「さぁさもう明後日に迫っているよ!世紀の大事件の行く末をとくとご覧あれー!」
「―…っ…!」
辛くなって、悲しくて、私は夜の中央都市アリエスタを駆け抜ける。
どうして。
どうして。
ハイネは悪くないのに。
私はまだ、生きているのに。
明後日に処刑?そんな、嘘よ!
賑わう屋台の裏で、私はしゃがみ込んで泣いた。
どうしていいのか分からなくて…涙がぽろぽろと零れる。
なんども心を奮い立たせようとするけれど、立ち上がろうにも立ち上がれなくて。
弱い心は、弱い心のままだった。