花嫁と咎人
“今日は5歳の誕生日。バースデーケーキはお父さんとお母さんの手作りです。”
“ハインツはやっと6歳になりました。欲しい物は…お父さんの髪の毛ー。面白い子だわ。”
そして今度は綺麗なドレスを纏った少女の物。
“ルエラにドレスアップして貰いました。もう立派なレディーね。”
だがそれ以降ページを捲るも、7歳の誕生日を境にしてハイネの姿はもう写ってなかった。
しかしその代わりに貼られていたのは、タリアとアルベルタさんの物。
“タリアさんと二人で。”
次は…大量の新聞紙を抱えたまま無表情でこちらを見る、男の子の姿。
“物好きなオーウェン君。今日も沢山海外の新聞をあげました。”
オーウェン…。
彼もまた、アルベルタさんと接触していたのね。
そして今度は家の中。
微笑むアルベルタさんと…恐らくこの子ども二人は…
“一緒に住む事になりました。コレットとレネ。二人ともとっても可愛い子。”
やはり。
私は何ページも捲った。
捲る内に、とうとう最後のものになってしまって。
そこにあったのは…アルベルタさん一人だけの物。
大草原で微笑み、佇むその姿は…まるで、何かを決意しているかのようにも見えた。
“このアルバムはこれで最後。今後はタリアの店に置かせてもらいます。
いつか子ども達の手に届きますように。”
「―アルベルタさん…。」
それから全てを閉じ、抱きしめた時…自然と温かい愛が感じられた。
嗚呼。
必ずこれをハイネに渡さなければ。
そしてもう一度引き出しを覗いた時。
今度は大きな箱を見つけた。
私はそれを手に取り、上蓋を開ける。
「…これ、は。」