花嫁と咎人
よく聞いた声と共に、ふわりと閂に添えられる誰かの手。
慌ててオーウェンが振り返るとそこには…
「フレッド…、」
にっこりと微笑み、自分の後ろに佇む王国騎士団副団長フレッドの姿が。
そしてその後ろには…
自分が引き連れていた30名ほどの王国騎士団員の姿があったのだ。
「お、前達…一体、どうして…!」
訳が分からず混乱するオーウェン。
「ば、馬鹿か!どうしてこんな所にいる!こんな事が知られたら、お前達は、」
彼は当たり前のように団員を罵倒しようとするが、そんな彼をフレッドは許さなかった。
「オーウェン様。」
フレッドは静かに口を開く。
そしてオーウェンを見据えると、こう言った。
「もう、一人で全て抱え込むのは止めて下さい。」
「―…っ、」
「これはもはや貴方だけの問題ではない。この国…いえ。既に世界中で問題になっているかもしれないのです。」
まるで自分を諭すかのように言ってくるフレッドを見て「なんて生意気なヤツだ」とオーウェンは思う。
だけど、何故か反論することができなくて。
団員達の視線から、目を逸らす事ができなくて。
「貴方には、私達が付いています。皆…貴方の力になりたいのです。」
そんなフレッドの言葉を聞いた瞬間、急に笑いが込み上げてきた。
「…本当に、お前達は一体何様のつもりだ。僕にお説教だと?…図々しいにも程がある。」
苦笑いをしながら、そう言うオーウェン。