花嫁と咎人

「お前達に僕の何が分かる。何も知らないくせに、偉そうな口を叩くな…。」


だが次第にその表情は崩れ…眉は下がり、口角さえも下を向く。

そして少しだけ俯いた瞬間。


「…お願いだから、もう…優しくしないでくれ。」


彼の瞳から零れたのは大粒の涙。


「苦手なんだ、どうしていいのか分からないんだ、」


顔を覆ってそう懇願する彼は、自分達と何も変わらない人間で。
初めて見るオーウェンの弱さに、団員達は優しい笑みを投げかける。

そしてフレッドは小さく言った。


「そう言う時は素直に、ありがとうと言えばいいんですよ。」


「…っるさい…!」


からかう様にそう言うフレッドの頭を叩きながら、オーウェンはぐいっと涙を拭う。

それから大きく息を吸うと、


「……り、がとう。」


聞こえるか聞こえないかのような声でオーウェンは言った。


「聞こえないですよオーウェン様」と笑うフレッドを無視して、


「ああもういい!とにかく錠を開けろ!」


オーウェンは怒鳴り、団員達は一斉に閂に手をかける。

そして、


「引けー!!」


合図と共に彼等は閂を引き抜いた。



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