花嫁と咎人
◇ ◆ ◇
…早朝。
コツ、コツ、コツ。
スリーピーススーツを纏った女性は、船を降りた後…ついに城内へと足を踏み入れた。
それから彼女は紅い瞳をぐるりと回し、短い銀髪をぐっと掻きあげる。
「―…、」
ここら一帯の憲兵達はいとも簡単に制圧できた。
そして今やこちらの部隊はそれぞれの所定位置で待機している。
…流石は鎖国中の国。
それとも今のこの国の主が腐っているのか。
どちらにせよ武力の差は歴然としていた。
女性は無言で地下牢へと続く階段を降り始め、
「…っ、貴様何も、ぐあっ!」
見張りの憲兵を昏倒させる。
だが、続々と出てくる他の見張りに呆れ返っていた時。
「っうあ!」
近くの憲兵の足に突然矢が突き刺さり、慌てて振り返れば…
弓を構えたままの茶髪の少年の姿があった。
「なんだ、いたのか。」
そんな彼に向かって彼女が笑みを零すと、
「いたら駄目なんですかー?」
と口笛を吹く少年。
それから二人で憲兵を根こそぎ倒し…向かった先には、いくつもの牢と鉄格子が見えてきた。
徐々に近づくその瞬間。
5年ぶりに再会する姉弟。