花嫁と咎人
青くて大きな瞳と、
自分と同じ、銀色の髪。
5年の月日が流れた。
見た目はお互い変わってしまった所ばかりだろう。
けれど、
「…少し、痩せただろ。」
眉を下げて笑う彼の中身は何処も変わっていなくて。
彼は彼女が己の頬に添えた手を、優しく包み返し…目を伏せる。
「泣かないで、笑ってくれ」
「……。」
「やっと、会えたんだから。」
「…、っ。」
そんな事を言われても、止まらないよ。
彼女は込み上げる積年の想いを零し続けた。
今まで、ずっと耐えてきた事や…母の死。
たった一人の弟と再び会えた事の喜び。
混じる感情の行く先は、どう足掻いても、涙と言う終着点にたどり着いてしまう。
「随分と、遠回りした。こんなにも時間がかかってしまった。でも、今まであったことの全てが…今日の日の為にあったものだとしたら。」
涙を零す彼女に彼は優しく呟いた。
「まだ、許せる範囲だと思うよ。」
そして最後ににこりと微笑むと、
「ついに、革命の火蓋は落とされた。」
力強く彼女の手をぎゅっと握った。