花嫁と咎人
何故、一人で?
それは…これが私と国との戦いになるから。
確かにハイネを助けるのも一つの理由だけど、
本来、私はこの国と戦っていた。
国を良くする為に。
自ら政治の指揮を執るために。
シュヴァンネンベルク公ラザレスを初めとした貴族達と真っ向から戦ってきたのは、
私が女王であるという自尊心を持ち続けていたから。
挫けそうでも、いつだって。
頑張ろうと私は努力していた。
けれど私の力不足のせいで国を乗っ取られ…
ハイネを初めとした異国人の人達を巻き込んでしまっていたのならば。
責任は、私にあるのだ。
故に、ここで戦わなければ。
例えこの身が滅びて、国さえも滅びようとも…
国を貶めようとする者を、赦す訳には行かない。
私にとっては両親の仇、家族の仇。
“嘘を真実として突き通す時代はもう終わった”のだ。
今こそ真実を。
全ての国民に自由を。
一人で行こうとした理由。
それは。
「―…私がエスタンシア王国の女王だから。」
力強く、私は彼女にそう告げた。