花嫁と咎人
「だから、一人で行きたいの。」
そう、全てを終わらせるために。
「これは…私自身と、国の…問題でもあるから。」
すると、ジィンは小さく微笑んだ。
そして優しく私の背中を押すと、
「どうなっても知らないからな!」
怒っているのか笑っているのか、分からない表情で叫ぶ。
けれど私にとってはそれが彼女の優しさとして心に染みた。
本当は「一人で行くなんて馬鹿か!」とか「アタシだけ用無し!?薄情なヤツ!」って言いたいに決まってる。
でも、それでも私を送り出そうとしてくれるのは…
彼女が私の存在を尊重してくれているから。
「―…ありがとう。」
意図せず自然と感謝が零れた。
でも前みたいに涙は出なくて。
代わりに溢れたのは強い意志と、プライド。
「ジィンと出会えて…本当に良かったわ。」
そう、言った瞬間。
突然ジィンに抱きしめられた。
「!、ジィン?」
驚いたまま、私が立ち尽くしていると、
「…頑張れ。」
告げられたのはその一言で。
暫くの間硬直したままだったが、やがて私も彼女の背中に腕を伸ばし…抱きしめた。
「ええ。」