花嫁と咎人

―…ゴーン。


「!?」


鳴り響いたのは鐘の音。

…ゴーン、ゴーン。

それは紛れも無く城から発せられているもので。


おかしい。
処刑の時間は午後三時のはず。

今はまだ11時30分だから、時間はまだ…、


「―…っ、まさか、」


私は嫌な予感がして、裏路地から慌てて表通りへと戻った。

嗚呼、まさか、まさか。

そして、耳に入ってきたのは…絶望的な一言。


『なあ、処刑の時間が午後0時に変わったみたいだぜ。』


「―…、」


嘘。


瞬間、私は目の前の人の腕を掴んだ。


「どうして、どうして処刑は午後0時に変更になったの!?それは本当!?」


きっと私は相当酷い顔をしていたのだろう。
男性は少々引きながら、私を見つめるとこう言った。


「あ、ああ、間違いねぇよ…さっき国のお偉いさんが言ってたからな。今のは多分30分前の鐘だろうよ。」


そして最後に「変な女だぜ」と言い残し彼は立ち去ってしまって。



ど う し よ う 。



私は立ちすくむ。


私だけ、時間が止まっているような錯覚に襲われた。


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