花嫁と咎人
駄目よ。
ここからじゃ、間に合わない。
あと30分しかないのに…エステリア城前広場なんかにたどり着けるわけが無い。
この感情はきっと絶望。
もう、終わり―…
だが、その瞬間私の脳裏にジィンの言葉が響いた。
『はなから諦めてたら、できる事も出来なくなるんだ!』
その一言が私の心に突き刺さって、一気に負の感情を砕いていく。
『簡単に弱音を吐くな!フランはまだ死んでないだろ!』
嗚呼。
そうね。
「まだ、私は…死んでないわ!」
刹那、私は駆け出した。
人ごみを掻き分けて、一目散に前を目指した。
ぶつかっても、
ぶつかられても。
足が痛くなったって、そんな事どうだって良かった。
生きている。
今、私は生きている。
死んだ事に、しないで!