花嫁と咎人
「―…!?」
驚いて振り返れば、そこには見たことのある銀色の髪が揺らいで。
綺麗に整えられた短い髪。
純白のスーツ。
青い瞳が…私を映し出す。
「―…ハイ、ネ、」
信じられないくらい高鳴る鼓動。
でも…
「だ、駄目よ…!」
私はそのぬくもりに甘えきれず、彼を遠ざけた。
「私は、もう女王ではないの、大国の国王であるあなたと対等に会うことも、もう出来ないわ…!」
辛かった。
知らず知らず、身分と言う壁が私達の間に壁を作る。
…それなのに…。
「…だから、何?」
ハイネはいとも簡単にその壁を打ち砕いてきて。
「そんなの関係ねぇよ。今までは逆の立場だった、けど、それが今変わっただけだ。」
強引に私の手を掴むと…私はそのまま強引に抱き寄せられた。
ポスンと音を立てて、彼の胸に収まってしまう私の体は…
小刻みに震え、戸惑いを隠せない。
だけど彼はそれごと、大きな腕で優しく包み込んでくれるのだ。
―…離れたくない。
ずっとあなたの側にいたい。
溢れ出したのは込み上げる感情。
言葉も無く…只零れるのは涙と嗚咽ばかり。
あなたと出会い、あなたと共に国を歩いた。
沢山の思い出の中に、いつの間にかあなたがいる。
今更、消し去る事なんて出来なかった。
私は、あなたという存在に…依存しすぎてしまった。