花嫁と咎人
強がる私は只、無言で泣き続けた。
どうしていいかも分からずに…ぎゅっとハイネの体を抱きしめて…、
その手を離す事ができない。
でも、
「…ごめん、なさい。」
無理やり…その手を離した。
「…駄目ね、これじゃ…あなたを忘れられないわ。」
嗚呼痛い。
心が痛いわ。
「これで…お別れね、ハイネ。」
こんなにも自分の心に嘘を吐いて。
自分自身で切り裂いて。
それでも、私は踵を返す。
“さようなら”
別れの言葉をいつ言えばいいの…?
そう背を向け、悩んでいた時。
「…行かないでくれ。」
ハイネの言葉に、私は立ち止まる。
「ずっと側にいて欲しい。」
―…え?
「もう、今更離れられねぇよ。…いま、アンタと離れたら、俺…どうにかなっちゃいそう。」
振り返れば、自嘲気味に笑い綺麗に整っていた髪をクシャリとかき乱すハイネの姿が見えて。
「…イ、ネ…、」
凛と佇む彼は一度大きく息を吐くと、真っ直ぐ私を見つめ…口を開いた。