花嫁と咎人


「…!」



―…言い切った。
とうとう、言い切ってしまった…!


もう、ヤダ、今のおれ、めっちゃかっこいいかも…!


だが。
そうそう上手く行かないのが、人生と言うものだ。



「…って、まだ姉は死んでないわよ。このクズ!」



スパコーン!

丸めた新聞紙が額にヒット!


「まあ、旦那さんは伝染病か何かで死んじゃってたみたいだけど…こっちから新聞送ったり(裏ルートで)文通したり(裏ルートで)してたのよ!勝手に殺すんじゃない!」


「…そ、そんなぁ」


かっこよかったおれ、カムバック。



するとその時。


ギィイィィィ。



「―…ったく、お出迎えも無いのかい…。」



突然扉が開いて、


「あ」


「え」


視線を向けると、そこには。


「…ふん、昔とちっとも変わらない職場だねぇ。」


煙管を手に、大きな荷物を背負い込んで…仁王立ちをしている女性がいた。



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