花嫁と咎人
エンディング
◆ ◇ ◆
フィレンツィリア領エスタンシア。
3番街・砂の町サザルツ。
「ああ…アーニャ、本当に行っちまうのかよ…。」
「ええ。だからお姉ちゃん、この町の事、お願いします。」
ジィンは目に涙を一杯浮かべながら、アーニャを見送る。
「別にそんなに急がなくてもいいじゃんか。せっかく来週には母さんも父さんも帰ってくるって言うのに…。」
だがいつまでたっても姉は妹が可愛くて仕方が無いのだろう。
何度もその腕を引き止めては泣き、引き止めては泣きを繰り返すばかり。
「もう…そんなに泣かないで。フィレンツィリアでもっと医学を学んで…立派になって帰ってくるから。
そしたらお父さんにも、お母さんにも会えるし、お姉ちゃんにも会える。
それまでの辛抱よ。ね?」
アーニャに慰められるジィンの姿はまるで姉とは思えなかったが、
彼女は彼女なりにちゃんと妹の思いを受け止めていたに違いない。
ジィンは何度も頷き、涙を拭い、最後にアーニャの体を抱きしめて、
…自ら背中を押した。
「…待ってる!だから、必ず立派になって帰ってこいよ!」
そして、彼女達はそれぞれの道を歩き出す。
誰にも譲れない、
進むべき道を目指して。
「アタシも…頑張らなくちゃ。」