花嫁と咎人
「老けたな、エルバート。」
「貴方に言われたくありませんよ、オーウェン様。」
エルバートは男、オーウェン・イブ・シュヴァンネンベルクの向かいの席に腰掛ける。
それにしても…随分と大人になられたと、久々に彼を見てエルバートは思った。
表情も落ち着き、すっかり垢抜けたその佇まいに少々驚いてしまう。
やはり、環境と言うものはこうも人を変えてしまうものなのか。
昔は清楚で謙虚だった現在の主を思い起こしながら、エルバートは苦笑いを零す。
「…そっちは跡継ぎが生まれたようだな。」
するとオーウェンは眼鏡を外しながら、口を開いた。
「ええ。もう本当にお父上とお母上に良く似て、元気で、優しく…少々やかましい…、」
「…クソガキ。」
「……王子です。」
どうせいつも追い掛け回してるんだろう。そのクソガキ共を。
と彼はハハハと笑いながら「大変だな、子守役も。」と最後にそう付け足した。
だが、そんなオーウェンの姿にエルバートは口をつぐむ。
「…どうした?」
「あ、いえ…ただ、」
ただ。
何の変哲も無いその仕草に、エルバートは目を丸くしたまま動けなくなった。
何故なら、