花嫁と咎人
それから暫くして本題は唐突にやってきた。
それは、どうやって街に下りるかという事。
「とりあえず、今はこの制服を脱ぐことは出来ねぇ…。街にはこのまま下りるしかねぇな…。」
確かに今の状況では服の事は後回しにするしかない。
問題は、街に下りてどこに行くか…という事になる。
「そういえば、いつもエルバートが手を焼いている店があるとか言っていたわ。
…なんでも、不法入国をした人や、何か訳がある犯罪者をかくまっている所…だとかなんとか…。」
私が以前エルバートが話していたことを思い出した事が、かなり話を前進させた。
「でもそこの女店主さんが凄くいい人だから、いつも話をして帰ってきてしまうって…。」
勿論そんな良い話にハイネが食いつかないはずも無く。
「…場所はどこだ、店の名前も!」
「そ、そんなに早く思い出せないわ…!いつの話だと思ってるの?!」
「いつの話だろうが、昔の話だろうがそんな事はどうでもいい…!さあ、思い出せ、早くしないと丘から突き落とす!」
明らかに脅迫に近い彼の言葉攻めに遭いながらも…私は何とか細い記憶の糸を手繰り、思い出すことが出来た。
「た、確か…2番街…2番街のブロックス通り3-24…いつもそうエルバートが言ってたよう、な…」
少し強張りながら、彼の顔を見る。
すると…
「アンタ…マジで最高…!」
でかした!と言わんばかりハイネは笑顔を浮かべた。