花嫁と咎人
だけどいつかきっと、教えてくれるわ。
そう、いつか。
…でもねハイネ。
そして私は食事を勢いよく食べる彼を見つめた。
自然と手が止まり、表情がもの寂しげになる。
こみ上げてくる不思議な切なさ。
「…私、もっとハイネの事…知りたいわ。」
しかし…小さく呟いた言葉は、突然の出来事によってかき消されてしまった。
「…とうとう来たね。」
先程から窓を見ていたタリアが小さく息を漏らす。
「どうしたの?タリア?」
問いかけると、目の前のハイネがチッと舌打ちをして。
「…追っ手か。」
手を止め、慌しく剣を腰のベルトに差し込んだ。
―追っ手。
私はタリアが覗き込む窓へと向かった。
そして隠れながら下を見ると…長い列を連ねてこの店を目指しているであろう、大群の姿があって。
「お、王国騎士団だわ…!」
見覚えのある旗。エステリアの紋章。
体中に寒気が走り…私の心臓は激しく脈打った。
慌ててエルバートの剣を握り締めるけれど、強張った足は地にへばりついたまま。
…捕まる!
城で起こった沢山の出来事が脳内を駆け巡って。
「…あ、…あ…!」
震える唇からもはや声も出ない。
しかしその時、誰かに手を握られて…私は振り返った。