花嫁と咎人

一方でとうに食べ終えたであろうハイネは、地図を見て、なにやら考え事をしている。
私もこの先の事を考えなければと思うが、次第に胃の痛みは増して。

とうとう蹲り私は顔を伏せてしまう。

どうしよう、これ以上迷惑は掛けたくないのに…
お腹が痛い…。

だが私の思いとは裏腹に、異変に気がついたハイネは、


「…調子でも悪いのか?」


そう言って気にかけてくれるけど、


「…ううん、何でもないの、」


気弱な私は正直に言えなくて。

でもハイネはそんな私を放っておいてはくれなかった。


「…何でも無いわけねぇだろ、正直に言え。」


「本当よ、なんでもない…」


口では嘘を言えても、体は嘘を吐けなくて…
痛さと、色んな感情が溢れて涙が零れる。


「なんでも、ないの…」


すると突然、彼は強引に私を振り向かせ目を合わせた。


「言えよ。迷惑だとか…思わないから。」


その声はとても優しかった。

…今日のハイネは何処か変だわ、なんでそんなに色んな表情を見せてくるの?
いつものぶっきら棒なハイネは今日は居ないの?

そんな事を考えながらも、私は小さく言った。


「……、痛むの…。」

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