花嫁と咎人

それにしてもどうやってあの女の口を割らせればいいのか。
とても困る。

拷問にかけてみようか。
でも生半可なものではあの女、絶対に何も言うまい。

じゃあもっと酷いもの…?


「…、これは考えものだな。」


オーウェンは廊下を行く。
狂気を心の中に隠し持ったまま…。



 ◇ ◆ ◇


深夜。

フランが眠りについた頃。
俺は森を見張る為に起きていた。

まあ、焚き火の火を切らさないようにする為でもあるが…。
度々木の枝を放り込んでは夜の寒さをしのぐ。

…ストレスで胃炎でも起こしたか。

眠るフランの横顔を見ながらそんな事を考える。

そして内ポケットから常に持っている胃薬を、慎重にフランの口の中へと滑り込ませた。
少しだけフランの表情が曇ったが目覚めるには至らない。


「って、なんで俺がこんなに必死になってんだよ。」


一人で苦笑いをして、溜め息を吐く。


「本当はもっと怒鳴ってやろうと思ってたのに…」


ふと、目の前に白い蝶が横切った。
宵闇の死が漂う森の中で…その姿は一段と映えて。


「これも、あなたの仕業なのか…?」


その姿を目で追う。


「教えてくれ、




……アルベルタ。」

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