好きだからこそ
「美杏!」
私は誰かに呼ばれて、重たい瞼を開いた。
「あ…留衣乃」
そこにいたのは友達の留衣乃。
入学式のころから仲良くしてる。
「まだ寝ぼけてんの?」
「ふぇ?」
私は重たい体を起こして目を擦った。
HRが終わったらしく、クラスが賑わいを見せている。
私はそのみんなの行動をゆっくり見ていった。
目を泳がせ、ようやく理解できてくると
「わかった?」
留衣乃がせかせかと言う。
「HRが終わったんでしょ?」
当たり前のように私が答えると留衣乃は慌てた仕草を見せ、黒板を指差した。
「それじゃなくてあれよ!」