好きだからこそ


留衣乃の指の先の黒板。

そこには見慣れた名前が書いてあることに気づく。

“立花 美杏”

私はまだ寝ぼけているのだ、と思い目をそらす。

それと同時に留衣乃の視線とぶつかった。

「わかったでしょ?」

真剣な眼差しを受け、さっきの出来事が嘘ではないことを察した。

「えっ…」

私は目を凝らして黒板を見た。

そこには私の名前ともう一つ。

「阿南…千斗世?」


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