あなたに...


──……


「未紗ちゃん...ごめん。起こしちゃったね...。」


そう言ってまた先生は悲しそうな顔をする。


「起きてましたよ。」

明るく言ってみると


「そっか。眠れない?」

って優しく話しかけてくれる。


そんな先生を見てたらまた切なくなる。


この優しさが医者としての優しさだってわかってるから...


みんなに優しいってわかってるから...



うつむいた私に気づいた先生はまた心配してくれる。

「どこか苦しいの?」

「大丈夫です。」




先生には心配かけられない。

先生には本当のこと言えないよ。


だって...
先生には大切な人がいるから...


困らせちゃいけない。




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