【短】初雪



確かにこの聖なる夜は、奇跡だったのかもしれない。



この人はホッとした。

将がいなくなって淋しくて、その埋め合わせだったのかもしれない。


でも。


「俺と、付き合お?」
突然何の脈絡もなく、男はいった。

その言葉に、あたしは自然とうなずいた。

「俺、ヒロトって言うんだ。いまから、お前のカレシ」



ねぇヒロト。

まだ、お互いのことよく知らないし、

あたしはまだしばらく、将のこと、忘れられないかもしれない。



なんで、あたしと付き合うのか。

まだよくわからないけど。


これから、お互いのことを知って。

ケンカもして。


仲良くなっていけばいいよね。


だって、この出会いはきっと、初雪が運んできてくれたキセキだと思うから。



                              【fin】
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