【短】初雪
後ろから名前を呼んで、

追いかけてほしかった。

抱きしめて欲しかった。


嘘だよって言って、


欲しかった…

将は声をかけることも、追いかけてもこなかった。


「……っ」

冷気が身にしみる。体が震えてきた。


5年間ずっと一緒にいた。

すぐ隣にいて、話しかければ笑ってくれたし、笑いかけてくれたら、こちらも自然と笑顔になった。
 あたしにとって将は、なくてはならない存在になっていたし、将にとってもあたしはそんな存在だと思っていた。


だけどもう、将のココロにはあたしがいなくて、ほかの子がいる。
 

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