モノクロ ―黒の中の白、白の中の黒―


いつもの私なら、きっとどんな酷いことを言ったって断ったはずだ。


きっとどんなことをしたって突き放したはずだ。


それなのに、


なぜか今、私は彼に連れられ歩いている。


どうして、と聞かれても自分ですらよくわからない。


彼がいつもと違って強気だったからだとか。


昨日悠斗が変なことを言ったからだとか。


今日が私にとって特別な日だからだとか。


いろいろな原因を浮かべてみる。


どれも違うような気がするし、


どれも正解なような気もした。


そうしていろんなことを考えてみるけれど、


今どんなに考えても、頭も心も混乱したままで、正しいことなんて何も見えない気がしたから。


混乱が落ち着くまで、何も考えずにとにかく彼の後をついていくことにした。
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