モノクロ ―黒の中の白、白の中の黒―


信号が青になる。


そんなことにも気づかず足を止めたままでいた。


そんな私に彼が振り返り、声を発しようとした瞬間、


「水野くん!?」


彼を呼ぶ誰かの声が聞こえてきて彼は再び私に背を向ける。


彼越しに見えた女の人には、見覚えがあった。


放課後の教室で私のことをお化け扱いした、あの彼女だ。


確か、彼のことを好いていた、


「…御坂。」


そう、御坂さん。
< 49 / 63 >

この作品をシェア

pagetop