モノクロ ―黒の中の白、白の中の黒―
…あぁ、だから嫌だったんだ。


気づいたら、手を離す覚悟をしている。


彼から離れる準備をしている。


一生離すものかと、あんなに必死にしがみついていたくせに…。


彼に嫌われることよりも、彼を傷つけ続けることに耐えられなくなってしまった。


ふと、先月の給料日から毎日見ていた通帳が頭を過る。




……あぁ、もう、本当に、


彼の傷ついた背中なんて、見るんじゃなかった。


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