ブラック or ホワイト
「私にはよく分かりませんけど…。窓の縁には血痕はありませんでした。でも、窓際の床には血痕が付いていたんです。考えられる可能性としては…」
「それは…?」
鬼下刑事は私を期待の目で見た。大きな目をして。
私は、深く呼吸をして、鬼下刑事に言った。
「窓際にいた人物…。それは健一郎ではなく…犯人の方だったんじゃないでしょうか?」
「ハッハッハ…。なかなか笑わせてくれるじゃないか。」
鬼下刑事は椅子から立ち上がり、手を叩きながら笑った。続けて鬼下刑事は言う。
「窓際にいたのは犯人?どうやったらそんな状況になるんだ?説明出来るのか?」
「…出来ませんけど。あくまで可能性を言ったまでです。」
私も椅子から立ち上がる。
この部屋は声がとてもよく響く。
鬼下刑事の声が耳障りなほどに━━━
鬼下刑事の声と言葉は
私を苛立たせた。