ブラック or ホワイト



『敬太?お母さんちょっと買い物行って来るから。』

『は?今から?もう9時だけど?』


『明日のパンきらしちゃって。ついでに、旅行の写真も出来たらしいから、取りに行ってくるね。』


『お気をつけてー。』



これが、母親との最後の会話だった━━━



それから、弟を寝かしつけ…1時間がたった。

近所のスーパーと写真屋さんまで歩いて5分。あきらかに遅かった。

いつもなら20分で帰ってくるのに。


自転車で母親を迎えに行く事にした。


何故か、嫌な予感がしたんだ。


嫌な予感は当たるものみたいで。



俺は、全く人気の無い道路を自転車で進む。


遠くから聞こえてくる車の音。



“この道…車通るなんて珍しいな”


こんな事を思っていた。


次第に車の音が大きくなっていく。


次の瞬間。


ビューンッ!


もの凄いスピードで車が向かってきて、目の前を通り過ぎる━━━


俺は、バランスを崩して転倒しそうになる。


『っぶねぇな!』


走り去っていく車に叫び、また自転車を走らせる。


次の角を左に曲がって、右に曲がればスーパーにつく。


“次の角を…
左…と…。”



左に曲がると、前方に人らしき人が倒れていたんだ━━━



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