ブラック or ホワイト
ガチャ・・・
大広間の扉を開けると、食欲をそそる匂いがした。
クリーミーなシチューの香りとお肉が焼けた香ばしい香り・・・
大広間のテーブルには、
既に大倉さんと塚原さんが席に着いていた―――
私達も席に着く。
右奥から大倉さんと塚原さん。
その隣に、私,敬太,金田さんの順に座った・・・
「ねぇ、隣に座っているの彼氏?」
大倉さんは身を乗り出して、小さな声で私に話しかけてきた。
「え?彼氏とかそういうんじゃないですけど…」
私は戸惑いながら答える。
心の中では、“初対面でその質問?って思っていた。
でも、気付いてたら作り笑顔をしている私・・・
敬太が私の事を横目で見てくる・・・。
「いきなりごめんね。私、大倉 江里。よろしくね!!あなた…お名前は?」
「大河原 彩紗です。」
私は、自分の名前を名乗った。
「彩紗ちゃんね!!よろしく!!」
大倉さんはにっこり笑った。
「私、塚原という者です。よろしくお願いしますね。」
隣に座っている塚原さんも自己紹介をしてくれた。
カワイイ笑顔が印象的。
大きな目が細くなって、左の口元には笑窪が出来る。
「となりの彼とはどういう関係なの?」
大倉さんが楽しそうに尋ねる。
相当、恋愛の話が好きみたいだ。
「・・・仕事仲間ですけど。」
「ホントに仕事仲間だけぇ?」
ニヤニヤして私の顔を見る大倉さん。
「ちょっ…江里ちゃん!!初めて会った人に何聞いてるのよ!!」
塚原さんは、大倉さんの言葉に慌てていた。
「だってぇ、気になるんだもんっ」
大倉さんは恋愛話が聞けなくて残念そうにしている。
私は、作り笑顔でその場を乗り切る―――
大広間にBGMのクラシック曲が静かに流れる・・・