DeepLove−彼の弟−
やばっ!!
そう思ったときはすでに遅かった。
「きれー!!見せてよ」
女子があたしの指輪に触れた。
「……っ!!触らないで!!」
あたしは手を振り払うと自分でも驚くくらい大きな声を出した。
教室が静まり返る。
「……あ…」
やば…
クラスメイトの視線が集まる。
あたしが手を振り払った目の前の女子─美沙─が軽蔑した顔であたしを見つめる。
「……七瀬ちゃん…ひどいっ!!」
「…………」
「美沙に謝りなよ!!」
誰かがそう言ったのが聞こえた。
軽蔑の視線に耐えられなくなって、あたしは教室を飛び出た。