DeepLove−彼の弟−
「…七瀬ちゃん」
涙でぐしゃぐしゃになったあたしに、話しかけてきたのは直斗のお父さんだった。
「びしょびしょだぞ。まずは自分の体を拭きなさい」
そう言ってタオルを渡してくれた直斗パパは、いつもよりもなんだか年老いて見えた。
「……ありがとうございます…」
「七瀬ちゃん、直斗の死について、聞くかい?」
「……え…」
突然の直球な話に驚くあたしに、直斗パパは優しくあたしを見つめる。
「つらいなら今無理に聞かなくてもいいから。七瀬ちゃんが落ち着いてからでもいい。でも、真実は早く知っておきたいなら、俺から話すよ?」
「……………」
直斗が死んだ話なんて、つらいし、こわいよ。未だに信じたくないし。
でも、知らないことはもっと嫌かもしれないなぁ…
大好きな直斗のことだもん。
最期ぐらい、あたしもしっかりと強くならなきゃ。
「……教えてください」