DeepLove−彼の弟−




「もうすぐ順番だよ」


隣に座っていた親戚のおばさんにそう言って軽く肩を叩かれて、ハッと我に返った。



いつの間にか葬儀は進んでいて、お焼香の順番がもうすぐあたしらしい。




立ち上がろうとして、目の前がぼやけてることに気付いた。



あたし、いつの間にか泣いてたんだ……





あたしの順番がきて、ふらふらと歩き出す。

力が入んないよ…



目の前の棺には直斗が寝てるんだ………

そう思うと余計に涙が出た。




お焼香が終わり、席に戻るときに棺桶の中を覗いた。



「………あ……」





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