DeepLove−彼の弟−
「……いやだよ…なおっ……置いていかないでぇ…」
ペタンと床に座り込んで泣き叫ぶあたし。
「……いやぁぁあぁ…」
あたしの行動が葬儀の邪魔になっているのは分かってる。
あきらかに泣き叫んでいるあたしはうるさい。
だけど、誰も止めなかった。
『静かにして』なんて言わなかった。
ただ黙ってあたしを見つめているだけだった。
たぶん、誰にもあたしが止められないと思ったんだと思う。
悲痛の声をあげる恋人の想いは、葬儀中の人々にも痛いほど伝わった。
だから誰も声をかけられなかった。
死んでしまった恋人に嘆き叫ぶ姿を見て誰もが、責めることはできないと思った。