DeepLove−彼の弟−
悲鳴のような泣き声が響く中、直斗ママが静かに立ち上がった。
「……七瀬ちゃん…」
あたしのところへ来ると、優しく肩を抱いた。
「大丈夫。もうそんなに泣かないで…直斗が安心して旅立てないわ?…ね?七瀬ちゃん、もう大丈夫よ」
そう言った直斗ママの手も震えていて、だけどなんだか温かくて…
自分がだんだんと落ち着いていくのが分かった。
そこからの記憶は無い。
気付いたら葬儀は終わっていて、みんなぞろぞろと退室していた。
あぁ…終わってしまったんだ……
最期のお別れ………
あたしもフラフラと立ち上がって出口に向かう。
終わったんだ。
あたしも終わらせなきゃ……
…なにもかも。
はやく楽になりたい。
直斗に会いたい…
あたしも逝かなきゃ……