DeepLove−彼の弟−
「事故はしょうがなかった…不運だったんだ。でも兄貴は、最期まで七瀬を守った。七瀬にあげる指輪を全力で守った」
健斗があたしの背中から離れる。
そしてあたしの正面に来た。
あたしは顔をあげて健斗を見つめる。
健斗の目は赤く、涙が滲んでた。
でも、意志の強い目をしてた。
「兄貴は最後の最後まで七瀬を守ったんだよ?男にとって愛する女を最期まで守れることは幸せだよ」
健斗は真っ直ぐな目であたしを見て、力強い声でそう言った。
そうして今度は正面から抱きしめられる。
一気に温かいぬくもりが広がる。