蜜蜂
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「いるよ、姉が三人ね。」


「三人も?じゃあ千明は末っ子?」


「うん、末っ子。俺ね、家族のアイドルなの。」


「…学校だけじゃなくて家でもなんだね。」


「すごい」と、彼女は小さく感想を述べた。


「千明のお姉さんたちかぁ…すごく美人なイメージがあるんだけど…。
きっと千明みたいにモテモテなんでしょう?」


楽しそうに笑いながら、聞かれた。


「んー…確かに美人な部類だと思うけど。
でもモテてないよ。あいつら男運ないからさ。」


そうきっぱり言うと、信じられないとでも言いたそうに俺を見てくる。
や、疑われても事実だし。


「ねぇ、ちょっと語ってもい?前の階段下の時の杏花みたいに。」


彼女の耳元に近づいて、かなり小さい声で尋ね返す。
耳弱かったりするなぁとか、弱かったら反応は可愛いんだろうなぁとか思ったが、顔を見ると普通に平気そうだった。


「いいよ、でも…ここは微妙?
帰りがてらでどう?どうせ駅行くでしょう?」


杏花の提案。
きっと学校では俺が杏花って呼べないから、気を使ってくれたんだと思う。


「うん、じゃあ帰りに。どこで待ち合わせ?」


「んー…正門出たところのコンビニの中。」


「わかった。」




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