蜜蜂
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「だから言ったでしょう?大丈夫って」


彼女はまたそう言う。
何の確信があってそう言うのかわからなかった。


「…さわき」


理由を聞こうと彼女に手を伸ばした時、図ったようにチャイムが鳴った。


「じゃあ後でね。助けてくれてありがとう。」


杏花はそれだけ言って、教室の中に入っていった。







「澤木。」


学校からすぐそこのコンビニ。
雑誌コーナーにいた彼女に声をかけた。


「ちょっと待ってて。」


そう言って、読んでいた雑誌と缶コーヒー、カフェオレを買ってレジに向かった。そして会計を終わらせ、


「お待たせ。」


と言い、俺にカフェオレを渡した。


「…待たせたのは俺なんだけど」


そう言いながらも俺は、「ありがとう」と言って缶を受け取る。


「いいの、私がコーヒー飲みたくなっただけだもん。」


彼女は笑った。
それにつられて俺も笑った。



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