蜜蜂
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「駅でいいんだよね?杏花電車通学なの?」


「違うよ、家は駅の近くなの。ただ、千明が電車かなぁって思って。」


「…そっか、ありがと。…じゃあ俺ん家と意外と近いかもね。
俺さ、、頑張れば自転車でこれる距離なんだよね。」


「そうなの?啓が聞いたら探しに行きそう。」


楽しそうに笑う彼女に、まだどこか引っかかる俺がいた。


「えっと…千明のお姉さんについてだったよね?」


杏花が思い出したように言う。
そして、どうぞと促すように俺を見た。


「…杏花、その話また今度でもいい?」


「うん?」


「その代わりにさ、聞きたいことあるんだけど。」


「いいよ?」


「休み時間のあれ、なんでわかったの?誰も気づかないって。」


歩き続ける彼女を、腕を引っ張って止めた。




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