蜜蜂
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「なんなら来る?今日俺バイトだし。」


二人の会話に今度は俺が口を挟んだ。
それに反応した杏花の表情は嬉しそうで、でもどこか心配そうだった。


「…いいの?仕事の邪魔にならない?」


また遠慮してる。それに俺は苦笑いを向けた。


「邪魔じゃないよ、客が増えて嬉しいし。美味しいコーヒー、いらない?」


最後の言葉に反応したらしい杏花は楽しそうに、「行く」とだけ言って笑った。







ただ君に笑ってほしくて。
あんな、無理矢理な笑顔は、もう見たくないから。



笑ってくれるなら。




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