蜜蜂

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「へぇー杏花ちゃんって言うの。」


「はい、えっと…」


「束沙、こいつちょっとわけありだからさ。
店とか外では名字かきぃって呼んでやって。」


杏花と同じテーブルについて、これまた楽しそうにテーブルに前乗りになって質問し続ける束沙。
束沙の迫力に負けそうな杏花に、俺は助け船を出した。


「きぃ？どうしてきぃなの？」


「髪が黄色いからだと。亜也が言ってた。」


俺が本人から直接聞いたわけじゃないけど。
「なるほど」と納得してたので、まあ良しとしておこう。


「…千明、頭大丈夫だった？」


彼女が心配そうに俺に聞いてきた。


「大丈夫だよ、かすり傷だから。」


「大丈夫よ、男の子だもの。」


俺と同じタイミングで束沙が答えた。
俺の髪の毛の生え際には無駄にでかいガーゼが貼られている。
先程の束沙のタックルの際に、頭部にかすり傷。
傷は大きくないが血が伝い始めたので、束沙が大慌てで処置した結果だった。



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